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イルミナ社の短鎖シーケンサーを用いたロングリードシーケンシング技術

先日、イルミナ社から短鎖シーケンサー(NovaSeq 6000、NovaSeq Xシリーズ)を用いて、ロングリードシーケンシングを可能にするIllumina Complete Long Read(ICLR)試薬の先行予約が開始になりました。これまでのショートリードによる短鎖(150 bpのリード長)シーケンサーでは上手く読めなかったゲノム領域が、ICLRのシーケンシングの結果と、これまでの30カバレッジのショートリードデータと組み合わせて計算することで、リピート配列やインデルなどのこれまでの難読領域が読めるようになります。従来のロングリードシーケンシング方法に較べて解析時間が短いのが特長とのことです。

ICLRでは、長い単一分子のDNA断片に、酵素的に固有のパターン(目印・ランドマーク)を付与し、増幅後、目印が入った形でシーケンスを行います。この目印から情報解析によって、繰返し領域やマッピングの難しい領域を識別し、N50(*)が5-7 kbpのロングリードを生成しています。生成したロングリードデータは、目印をつけていないWGSシーケンスデータと統合され、オリジナルの連続したロングリードが産生される仕組みです。

なお、ロングリードシーケンスに必要なゲノムDNA量は、50ng程度と少なく、標準キットによるゲノムDNA(~15 kbp)で解析可能です。ICLRでのヒト1検体あたりのデータ量は、NovaSeq 6000 S4フローセル相当 (~750 Gbp)であり、ショートリードシーケンサーのヒトのWGSの30X相当 (検体あたり90 Gbp)換算で約 8検体分のリード出力が必要です。

イルミナ社のテクニカル資料には、GBA1、NCF1、STRC、SEMG1、SULTIA1、HLA遺伝子の解析例が提示されています。ご興味ある方は是非ご覧ください。

弊社の解析サービスにも、いち早くこの技術での解析サービスをメニューに入れていく予定です。実際の解析にご興味のある方、ぜひ今のうちに当社までご連絡頂ければと思います。

https://jp.illumina.com/products/by-type/sequencing-kits/library-prep-kits/complete-long-read-prep-human.html

*N50: アセンブリの合計長の半分となる時の、最も短いコンティグの配列長

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