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量子もつれ

今年のノーベル物理学賞の受賞者は、アラン・アスペ教授、ジョン・クラウザー博士、そしてアントン・ツァイリンガー教授だった。あれ、まだ受賞されていなかったのかと思われるくらい物理ではすごく有名な方々でした。

ボーアとアインシュタインは量子力学の観測理論など基礎について有名な認識論とも言える論争を続けた。その中で生まれた当時はパラドックスと言われていた「量子もつれ」は、一時はあまり興味を引かなかった地味なテーマで、そんなことに関わっていては飯が食えないとさえ言われ、著名人だけに議論が許される特権的な響きを持っていました。

そんな雰囲気の中で受賞者の方々は、「量子もつれ」は現実に起こりうる現象であることを1980年頃の実験技術を使った精緻な実験から示し、それを使った新たな展開が見込め、このテーマでも皆がやっていけることを示しました。

ちょうど日本でも量子力学の観測の理論が盛んになったこともあり、三人の名前の入った論文を見つけては最先端の風を感じてワクワクして読んだ覚えがあります。2022年の今では「量子もつれ」とそれを用いた量子コンピュータは、誰もが平気で使う当たり前のような言葉になりました。

今、1980年頃の量子力学と同じ最先端の風を感じてワクワクしていける分野は、まだまだこれからのゲノム科学やゲノム情報科学だと思います。シーケンス解析の結果から意味を取り出すには、ホモロジー解析が不可欠ですが、このバイオインフォーマティクスの創始者たちもまだ受賞はしていないように思います。当社では、ゲノム科学やゲノム情報科学の発展にお役に立ちたい、新しい発見に繋がるようにと日々解析を進めております。

*山本義隆 ボーアとアインシュタインに量子を読む みすず書房 2022年

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