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水中の微生物の移動をモデル化するヤヌス粒子

水中の球状の微粒子は周りの水分子にランダムな突き動かされてブラウン運動を行なうこ
とが知られています。球状の微粒子のブラウン運動は有名なアインシュタインをはじめと
して理論的に研究されてきました。最近、微小粒子の片面を加工し、周囲からエネルギー
を取り込んで自ら動き回る粒子を人工的に作りだし、その運動を非平衡系の流体力学から
解析して、微生物の水中の移動を理論的、実験的に解明する試みが進んでいるようです
。(石川健太、数理科学 2021年1月号 p.73)
半球ずつ別々の特性を持たせた球状の粒子は、ローマ神話のヤヌス神に因んでヤヌス粒子
と呼ばれれています。当社は東北大学と共同で、球の半球面に蛍光色素をつけ、別の半球
面に抗体をつけたヤヌス粒子をセンサーに利用したPOCT(point-of-care testing)検査装
置とその試薬の医療機器と診断薬の開発を進めています*。上記のようにヤヌス粒子の運動
の基礎的な物理の解明によってさまざまな特性を併せ持ったより高度なヤヌス粒子を作成
して、より高性能な医療機器やその診断薬の開発につなげていきたいと思っています。
* 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のご支援で、東北大学材料科学高等
研究所(AIMR)、東北大学マイクロシステム融合研究開発センター(μSIC)、東北大学工学系
研究科、東北大学医学系研究科、東北大学病院、災害科学国際医療研究所(IRIDeS)とハプ
ロファーマ社の共同研究。

用語
臨床現場即時検査、POCT(point-of-care testing):大型の機器を用いた検査センターや
検査室以外ではなく臨床の現場で、主に小型分析器や迅速診断キットを用いてリアルタイ
ムに行われる検査を示します。

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